2026年7月15日から17日にかけてチェコ・ブルノのマサリク大学で開催された第20回 International Conference on Computers Helping People with Special Needs(ICCHP 2026)で、当研究室 博士課程の茂呂 征弥さんが2件の研究発表を行いました。いずれも査読を経て、Springer の論文集(Lecture Notes in Computer Science)に採録されています。

ICCHP 2026で発表する茂呂さん

ICCHP 2026について

ICCHP は、障害のある人のためのデジタルインクルージョン、支援技術 (Assistive Technology; AT)、アクセシブル ICT を扱う国際会議です。20回目の開催となる今回は、マサリク大学 芸術学部を会場に、各国の研究者と実践者が集まりました。

発表1:エコマップの比較からケア連携のデザイン知識を引き出す

エコマップは、本人と家族・支援者・地域資源のつながりを一枚に描き、関係性を「見える化」することで、孤立している部分や強化すべき支援を把握するために用いられます。この研究では、ケアに関わる複数の支援者と、ケアを受ける立場でありながら自らも支援者として活動する「親」=ペアレントメンターの双方が描いたエコマップを比較することで、ケアの連携に必要なデザイン知識を引き出す方法を単一事例で検討しました。そこで抽出した課題は、支援アプリケーションの要件定義とプロトタイプの予備的な評価につなげています。

エコマップの比較から抽出した、制度・支援ネットワーク・家庭の各層における課題

発表2:障害のある当事者は、デザインのどの段階に・どう参加しているか

支援技術や ICT の開発では、障害のある当事者がデザインに参加することの重要性が指摘されてきました。この研究では、スコーピングレビューによって、当事者がデザインプロセスのどの段階で・どのような形で参加しているかを整理し、参加のあり方の現状と、これまで参加が薄かった段階を明らかにしました。

スコーピングレビューの発表の様子。会場ではリアルタイム字幕と手話通訳が併用された

会場では、エコマップを用いる理由や、レビューで用いた文献データベースの選定など、手法に関する質問を中心に議論が交わされました。特殊教育学や心理学の研究者とも意見を交わし、博士研究を進めるうえでの新しい接点が生まれています。

書誌情報

  • Moro, S., Osaki, Y., Takagi, S., & Ohashi, T. (2026). Eliciting Design Knowledge for Care Coordination Through Multi-Actor Eco-Map Comparison: A Single-Case Methodological Study. In: Miesenberger, K., Petrie, H., & Peňáz, P. (eds.), Computers Helping People with Special Needs: 20th International Conference, ICCHP 2026, Brno, Czech Republic, July 15–17, 2026. Lecture Notes in Computer Science, Springer, Cham, pp. 208–215. https://doi.org/10.1007/978-3-032-31308-9_25
  • Moro, S., Kobashi, M., Takagi, S., & Ohashi, T. (2026). How and When People with Disabilities Participate Across Design Phases in Assistive Technology and ICT. In: Miesenberger, K., Petrie, H., & Peňáz, P. (eds.), Computers Helping People with Special Needs: 20th International Conference, ICCHP 2026, Brno, Czech Republic, July 15–17, 2026. Lecture Notes in Computer Science, Springer, Cham, pp. 530–537. https://doi.org/10.1007/978-3-032-31308-9_63