2026 年 4 月 27 日、電波新聞社の連載「半導体人材の未来」第 28 回として、当研究室が設計・運営するプロジェクトベースド・ラーニング (PBL)「Transition Design Studio」の取り組みが掲載されました。

デザインワークショップに取り組む学生たち

記事のタイトルは「『ありたい未来』から半導体を設計 東京科学大学が育てる次世代人材」。2026 年 2 月下旬に東京・日本橋で開催されたフォーラム & ワークショップでの学生成果発表をもとに、大橋研究室が研究の中核に据えるトランジションデザイン (Transition Design) の手法を、研究室メンバーが共同で半導体人材育成へ応用した試みが紹介されています。

トランジションデザインから半導体設計へつなぐ PBL

「Transition Design Studio」は、社会課題を起点に半導体設計(SoC アーキテクチャ)までを一気通貫で学ぶ PBL です。当研究室がこれまで持続可能性・防災・ケアといったテーマで実践してきたトランジションデザインの方法論を、研究室メンバーが議論を重ねながら半導体という基盤技術領域に展開した、研究室の研究成果の教育応用にあたります。

学生は「過疎地域における課題」をテーマに、研究室メンバーがファシリテーションを担当しながら、以下の 6 ステップで取り組みました。

  1. トランジションデザイン — 厄介な問題 (Wicked Problems) としての社会課題を構造化
  2. 未来洞察 — ありたい未来像のデザインとシナリオ構築
  3. フィールドワーク — 当事者の生活・現場文脈の理解
  4. アイディエーション — 共創ワークショップによる解決策の発散
  5. SoC 設計 — 解決策を支える半導体アーキテクチャへの落とし込み
  6. PoC 計画 — 実証実験の設計

トランジションデザインが扱う「社会システムの長期的変革」と、半導体設計が扱う「具体的なハードウェア仕様」をつなぐ思考のオーケストレーションを、学生自身の手で体験する設計になっています。研究室の博士・修士・学部メンバーがそれぞれの専門領域からファシリテーションや設計支援に関わっており、研究室全体としての教育実践となっています。

実施基盤

本 PBL は、東京科学大学が運営する半導体人材育成拠点 SiCA(未来共創半導体イノベーションアリーナ)の枠組みで実施されました。大橋研究室の主宰である大橋 匠 准教授が SiCA の事業責任者を兼務する関係を通じて、研究室の研究成果である PBL 方法論を、産官学民のフロントランナーが集う共創アリーナで実装しています。

おわりに

トランジションデザインは、本来、社会全体のシステム変革を扱う長期的なデザインアプローチです。今回の電波新聞での取り上げは、その手法が半導体という基盤技術領域においても、人材育成と社会実装の接続点を設計しうることを社会に示すものとなりました。研究室では今後も、メンバーが共同で「技術と社会の接続点をデザインする」研究と教育の実践を発展させていきます。